「キクバヤマボクチ」は、キク科ヤマボクチ属の多年草です。
中部以西の本州、四国、九州に分布し、日当たりの良い草地や林縁などを好みます。
他のヤマボクチの仲間同様、葉は火口(ほくち)という天然の着火剤として利用されてきました。
葉の裏に細かい毛がびっしりと生えており、それが火種を大きくするのに都合が良かったのです。
また「キクバヤマボクチ」の花は筒状花あるいは管状花と呼ばれるキク科特有のもの。
未熟なオナモミの実を思わせるとげとげしい緑のつぼみはやがてアザミに似た形の花へと変わり、色は根元の部分が暗い赤~紫色、先端部がクリーム色、ピンク色、紫色になります。
毛がたくさん生えた釣り鐘とも言うべき形をしたそれは正確には小さな花の集合体であり、近くでよく観察すると長くて目立つ雄しべ・雌しべの間にとても小さな花びらがたくさんあることが分かるでしょう。
「キクバヤマボクチ」の花言葉
「キクバヤマボクチ」に花言葉はありません。
一方、同じヤマボクチ属のハバヤマボクチには「安楽」という花言葉が、オヤマボクチには「たくましい」という花言葉があります。
いずれも由来は不明ですが、ハバヤマボクチが強壮や利尿、止血に良い生薬として用いられていたり、オヤマボクチが神経痛や疲労回復に良いとされていたりすることが関係している可能性があります。
加えて近年の研究により、キクバヤマボクチエキスに紫外線による肌へのダメージを軽減する効果があることが分かりました。
したがって「キクバヤマボクチ」の花言葉はその働きから「長続きする美」「若々しさ」などがふさわしいでしょう。
「キクバヤマボクチ」の豆知識
「キクバヤマボクチ」の若い芽や若い茎、根は食用になります。
利用例としては草餅、そば、和え物、天ぷらなど。
また仲間であるハバヤマボクチやオヤマボクチも同様に利用されます。
ただしヤマゴボウとの混同にはご注意ください。
特にオヤマボクチがヤマゴボウと呼ばれることが多いですが、ヤマゴボウは本来ヤマボクチの仲間とはまったく別のヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草を指す言葉であり、しかも日本で見られるヤマゴボウの仲間は全て食べられません。
市場でヤマゴボウの漬物などを見かけたら、それはヤマボクチあるいはアザミの仲間であると考えてください。
なお味は柔らかく美味と評判です。
まとめ
「キクバヤマボクチ」は様々な用途がある薬草で、花はアザミに似た形のものです。
毛が生えた釣り鐘のようなそれは根元の部分が赤~紫色、先端部がクリーム色、ピンク色、紫色になります。
花言葉は「長続きする美」「若々しさ」。
草餅、そば、天ぷらなどだけでなく、近年の研究から美容分野での利用も期待されています。