ウンゼンツツジはツツジの仲間で、白~ピンク色の小さな花をたくさん咲かせます。
名前の「ウンゼン」は長崎県雲仙岳から。
しかし雲仙岳に生えているというわけではなく、現在では紀伊半島、四国南部、鹿児島近辺に分布しています。
その複雑な名付けの経緯から他の種と混同されることが多く、その点は注意が必要な花です。
必要であれば学名「Rhododendron serpyllifolium(R. serpyllifoliumとも)」を確認するのが良いでしょう。
元々ウンゼンツツジの名は、雲仙岳に自生する美しいツツジ(現在のミヤマキリシマ、学名R. kiusianum)に使われていたものでした。
しかし当時の長崎県を含め多くの人々が「ウンゼンツツジ」と呼んできたものの標準和名が「ミヤマキリシマ」で登録されたうえ、「ウンゼンツツジ」の名が他の種についてしまったものだからさあ大変。
今でも長崎県花として指定されているミヤマキリシマが単に雲仙ツツジと記述されることがあるなど紛らわしい状態になっています。
おまけに和歌山県ではウンゼンツツジのことをコメツツジ(学名R. tschonoskii)と呼んでいますが、学名の違いから見て取れるように本来ウンゼンツツジとコメツツジとは別種。
公共機関においてさえ混同されることもあるのでこれまた注意が必要です。
「ウンゼンツツジ」の花言葉
ウンゼンツツジに花言葉はありません。
一方、ツツジの花言葉は「節度」「慎み」「初恋」「恋の喜び」などとなっているほか、ウンゼンツツジとよく混同されるミヤマキリシマは「情熱」「自制」「節制」、コメツツジは「愛の喜び」「情熱」などの花言葉を持ちます。
華やかなピンク系の花が多いツツジの仲間に節制や慎みに関するワードが割り当てられているのは、水をあまり必要としない性質があるからなのだそう。
そしてウンゼンツツジもまた他の仲間たち同様丈夫なので、同じような使い方ができるでしょう。
「お酒を控えてご自愛ください」などといった使われ方をすることもあるようです。
「ウンゼンツツジ」の豆知識
ツツジとしては花も葉も小型で、水はけが良く日の当たる場所を好みます。
また花の色が淡い個体が多いことも特徴で、よく混同される他の種と見分ける時のざっくりとした目安になるでしょう。
ウンゼンツツジは桜色といった塩梅の優しい色合いなのに対し、ミヤマキリシマはマゼンタに近いよりビビッドな色合い。
またコメツツジの花の色は白からマゼンタに近いものまで様々ですが、全体的に白が多め。
とはいえ色には個体差がありますし、ウンゼンツツジの園芸種には花が白い白雲仙などもあったりするのであくまで参考程度に考えてください。
余談ですがウンゼンツツジにはシロバナウンゼンという白雲仙とはまた異なる変種があったりもします。
まとめ
何かと別種と混同されがちなウンゼンツツジですが、ツツジとしては小さめのかわいらしい花をたくさん咲かせてくれる様は見事なもの。
また「節制」や「慎み」といった花言葉を持つ他のツツジの仲間同様丈夫で、自生地では他の植物に先駆けて根付くくらいです。
初恋を思わせる淡いピンク色もチャームポイント。