「ヤブニッケイ(藪肉桂)」は、クスノキ科クスノキ属の常緑樹です。
海外では中国、韓国、国内では福島県以南に分布し、暖地の山地や雑木林に生育します。
放射状に枝分かれした花茎の先に、淡黄緑色の小花をつけ、花期は6月から7月です。
今回は、「ヤブニッケイ」の花言葉について解説します。
「ヤブニッケイ(藪肉桂)」の花言葉
「純潔」といいます。
「ニッケイ」の花言葉と共通します。
ニッケイは芳香があり、漢方に用いられますが、西洋でも「シナモン」の名でスパイスや香料として利用されています。
利用の歴史は古く、古代エジプトでも使われていました。
中世ヨーロッパにおいて、シナモンは原材料不明の謎のスパイスでした。
これは単に情報が伝わりにくいという技術的問題だけではありません。
取引を独占するため、貿易商が意図的に情報を伝えなかった事も大きな要因でした。
このため、シナモンは「世界の縁にあり、網で掬い上げられる」という俗説があった程です。
そんな他の生物とは違い、生殖を経ずに発生しているという誤解からイメージされた花言葉です。
他に、芳香自体が「清らかさ」を意味した事も花言葉に合います。
中世暗黒期のヨーロッパ医学において、病原は「瘴気」でした。
当時、空気の質を認識出来るのは、匂いしかなかったため、良い香りはすなわち瘴気を浄化するものと考えたのです。
純潔という言葉は昨今使いにくいものですが、大まかに「純粋で清潔」というイメージとして使う事はできます。
掃除上手で綺麗好きな人などに贈るのに向く花言葉です。
「ヤブニッケイ(藪肉桂)」の豆知識
「ヤブニッケイ」は、葉や根皮に、ニッケイに似た香気があり、山に生える事から付いた名です。
また「藪」には、「似て劣るもの」の意味があり、そちらの意味でも合います。
藪を使う言葉に「藪医者」がありますが、こちらの由来は諸説あります。
「藪のように見通しがきかない(正しい診断が出来ない)」「風が吹くと動く(風邪が流行した時だけ忙しい)」「まじない(野巫)しか出来ない」「名医『養父(やぶ)』の弟子を騙るインチキ医者」などです。
「ヤブニッケイ」は別名に「マツラニッケイ(松浦肉桂)」があります。
但し「マツラニッケイ(松浦肉桂)」は、シロダモ属の「イヌガシ(犬樫)」の別名にもなっている事から、厳密な区別が必要な時には使えません。
まとめ
目立った花も咲かせない「ヤブニッケイ」は、風景に紛れやすい樹木です。
花言葉を知り、それをきっかけに興味を深めれば、身近に感じ、存在にも気づけるでしょう。
風景の解像度を増す、花言葉を是非参考にして下さい。