「テンダイウヤク(天台烏薬)」はクスノキ科クロモジ属の常緑低木です。
その根からは「烏薬(うやく)」という生薬(しょうやく)が作られます。
効果は沈痛、悪心腹痛や消化不良の改善などです。
また名前の「天台」は中国浙江省東部にある天台山から来たものとされています。
天台山は国家指定の名勝地であるだけでなく、日本にも伝わった仏教の宗派の1つ、天台宗の故郷としても有名です。
そして天台山の烏薬が名品だったため、木にもその名が付くようになったと言われています。
花は3~4月に咲くクリーム色のもの。
雄花と雌花で異なる姿をしているだけでなく、雄花を付ける個体は雄花のみを付け、雌花を付ける個体は雌花のみを付ける、雌雄異株という性質があります。
「テンダイウヤク(天台烏薬)」の花言葉
「テンダイウヤク(天台烏薬)」の花言葉は「密かな喜び」「温厚」です。
残念ながら、その由来についてはまったく分かっていません。
薬用植物の花言葉はその薬効から決まることも多いものですが、「テンダイウヤク(天台烏薬)」の花言葉は薬効に由来するものだとはあまり言えないでしょう。
しかし「密かな喜び」の由来となった可能性のあるこんな逸話があります。
今から2000年以上も前、秦の始皇帝が徐福という男に不老不死の薬を探させたが、徐福は日本で不老不死の薬となる「テンダイウヤク(天台烏薬)」を見つけると、帰国することなく生涯を日本で過ごした……あるいは徐福が日本に「テンダイウヤク(天台烏薬)」をもたらしたとする資料もあるようです。
しかし「テンダイウヤク(天台烏薬)」が日本に伝わったのは江戸時代のこと。
ゆえにこれらは創作であるわけなのですが、徐福が日本で見つけた「テンダイウヤク(天台烏薬)」を持ち帰らずに自分だけの秘密にしていたという見方をすれば、こういった花言葉が付くのも不思議ではありません。
また花言葉に影響したかどうかまでは分かりませんが、徐福は温厚な男であったと伝えられています。
「テンダイウヤク(天台烏薬)」の豆知識
元々は薬用植物として日本に導入された「テンダイウヤク(天台烏薬)」ですが、現在では観賞用にもされるようです。
また近畿地方や九州地方など一部の温暖な地域においては人の手から逃げ出したものが野生化している模様。
寒さには少し弱いですが、耐陰性はあります。
まとめ
「テンダイウヤク(天台烏薬)」は薬用植物の一種で、その根を「烏薬」という生薬にします。
しかし最近では観賞用としても利用されるようです。
また花は春に咲くクリーム色のもので、花言葉は「密かな喜び」「温厚」。
その由来は定かではありませんが、徐福伝説が関係している可能性が考えられます。