「タマボウキ(玉箒)」はユリ科クサスギカズラ属の多年草です。
熊本県と大分県の一部にのみ分布する珍しい種で、「ツクシタマボウキ」という名前で呼ばれることもあります。
またキク科タムラソウ属の多年草であるタムラソウも「タマボウキ」と呼ばれることがありますが、それはまったくの別物です。
ともあれ、「タマボウキ(玉箒)」は分布域が限られているうえ、絶滅危惧種に指定されているほど個体数も少ないので人との関わりは稀で、情報もあまりありません。
成長したものは草丈50~100cmほどとなり、逆さにしたほうきのような形をしています。
花は大きさ6~7mmほどの小さなもので、花期は5~6月。
細長い釣り鐘のような形をしており、色は根元が赤がかった紫色または暗い紫色、先の方が黄緑色といった塩梅です。
また秋になると、丸く赤い実を付けます。
「タマボウキ(玉箒)」の花言葉
「タマボウキ(玉箒)」に花言葉は与えられていません。
しかし花言葉を与えるとするなら、花を付けている時の様が玉箒(たまばはき)に似ていることや、とても珍しく分布域を訪れても必ずしも姿を見られるとは限らないことなどから「千載一遇の幸運」が良いでしょう。
玉箒(たまばはき)とは古い時代に使われていた儀礼用のほうきで、真珠や色とりどりのガラス玉のビーズで飾られた華やかなものです。
かつては正月の初子の日に、皇后様が玉箒(たまばはき)で蚕室(カイコを飼う部屋)を掃いて蚕神を祀り、五穀豊穣を願うという行事が行われていました。
ちなみに現代でも皇居の森にある紅葉山御養蚕所という場所で皇后陛下による伝統的なご養蚕が行われており、またその神座には養蚕の神である和久産巣日神(ワクムスビ)と大宜都比売神(オオゲツヒメノカミ)が祀られています。
「タマボウキ(玉箒)」の豆知識
「タマボウキ(玉箒)」はアスパラガスの仲間であると紹介されることがあります。
実はアスパラガスも同じクサスギカズラ属の仲間で、「タマボウキ(玉箒)」の新芽はアスパラガスに似ているそうです。
ちなみにアスパラガスはユリ科とされることも、キジカクシ科とされることもありますがこれは分類体系の違いによるもの。
また「タマボウキ(玉箒)」が食べられるかどうかは不明ですが、同じく「タマボウキ」と呼ばれるタムラソウの若葉は食用になるそうです。
まとめ
「タマボウキ(玉箒)」はクサスギカズラ属の多年草です。
九州のごく一部にのみ分布するとても珍しい種であり、花を生で見ることはとても困難と言えるでしょう。
なお花は細い釣り鐘のような形で、色は紫色や黄緑色。
花言葉はありませんが、与えるのならその珍しさなどから「千載一遇の幸運」が良いでしょう。