「シナノキ」はアオイ科シナノキ属の落葉高木です。
名前にある「シナ」とはアイヌ語で「結ぶ」などを意味する言葉であり、アイヌの人々がその樹皮から糸を作っていたことからその名が付いたとの説がありますが、現在ではこの説は疑問視されています。
とはいえアイヌの人々が樹皮から糸を作っていたこと自体は確かで、特に灰を入れて煮たものは良質なものになるとのこと。
開花期は6~7月で、花は雄しべが印象的な白~クリーム色のもの。
花びらよりも細長くて数の多い雄しべの方が目立っており、小さな花が集まって垂れ下がる様は美しい線香花火をイメージさせます。
おまけに花だけでなく丸くてかわいらしいつぼみもまた観賞価値のあるものです。
「シナノキ」の花言葉
「シナノキ」の花言葉は「夫婦愛」であり、これは同じアオイ科シナノキ属の仲間であるボダイジュと共通です。
そしてこの花言葉は「バウキスとピレーモーン」というギリシャ神話の物語に由来します。
今でいうトルコ中部に住んでいた老夫婦のバウキスとピレーモーンはある夜、2人の貧しそうな旅人を迎え入れました。
老夫婦は貧乏でしたが、彼らは旅人の足を洗ってやり、その後にチーズ、ワイン、燻製肉のスープなどで精いっぱい旅人をもてなしました。
ところが、いくら旅人にワインを与えてもワインはちっとも減りません。
それどころか容器はワインで満たされていました。
それがきっかけで旅人は自らの正体が大神ゼウスとその息子のヘルメスであると明かし、老夫婦の「2人で共に人生最期の時を迎えたい」という願いを叶えてやりました。
そして老夫婦は最期の時、神殿のそばでオークとセイヨウボダイジュになったのです。
……という内容のお話であり、またオークにはこのことから「歓待」「もてなし」などの花言葉が付いています。
「シナノキ」の花言葉は深い愛情と絆で結ばれた夫婦、あるいは末永くそうありたいと願う夫婦にはぴったりだと言えるでしょう。
「シナノキ」の豆知識
「シナノキ」は北海道、本州、四国、九州で見られる日本固有種です。
その木材はベニヤ板や箱材などに利用されるだけでなく、今でもその繊維から布やロープが作られています。
また割り箸、おもちゃ、鉛筆、アイスのへら、木彫りの熊などにも使われる他、街路樹や蜜源植物(養蜂におけるハチミツのもと)としても利用される使い出の多い木です。
特に「シナノキ」から作られたハチミツは後味が濃厚で香りも良く、様々な用途に合うと評判。
まとめ
「シナノキ」はボダイジュの仲間で、その樹皮の繊維は糸や布、ロープなどとして活用されているほか、その木材はベニヤ板、割り箸、おもちゃ、鉛筆など多くの製品に使われています。
花言葉は「夫婦愛」。
これはギリシャ神話に由来するもので、深い愛情と絆で結ばれた夫婦にはぴったりのものです。