「ニガヨモギ(苦蓬)」は、キク科ヨモギ属の多年草です。
ヨーロッパ原産で、北アフリカ、アジア、北アメリカにも分布が見られ、日本へは江戸時代に渡来しました。
ハーブとして利用され、「アブサン」や「ベルモット」などスピリッツやリキュールにも使われています。
花はキクの構造ですが、花弁(舌状花)はなく、黄色い筒状花のみで構成されます。
花期は7月から9月です。
今回は、「ニガヨモギ」の花言葉について解説します。
「ニガヨモギ(苦蓬)」の花言葉
「からかい」「苛酷」「不在」「平和」などがあります。
トラブルになりそうな、不穏な言葉が混じります。
誰かに贈るより、創作などのモチーフに向いた花言葉です。
「からかい」
「ニガヨモギ」は、旧約聖書に出て来る「蛇」が這った後から生えた、という言い伝えがあります。
この蛇が、からかい半分でイヴをそそのかし、禁じられた木の実を食べるよう仕向けた事から付いた花言葉です。
「冗談」という花言葉も同じ由来で付いています。
時として、好意の裏返しで、ついからかってしまう事があるでしょう。
一方、反撃や批判をかわすため、からかいふざける風を装い攻撃する事もあります。
この2つを、かわれる側は見分けられません。
人に対して使ってはいけない花言葉です。
「苛酷」
楽園追放後のアダムとイヴの運命を表した花言葉です。
蛇の扱われ方でも意味は合います。
運命に苛まれる時、周りの全てが敵にまわったように感じてしまうでしょう。
心が追い詰められていると、相手の単なるミスまで悪意で行われたと考えてしまいます。
そんな気持ちが煮詰まった時は、ベルモット多めで甘くしたマティーニでも飲んで、「苛酷」を飲み干してしまうのも良いでしょう。
「不在」
「ニガヨモギ」の学名「アブシンシウム(不在、味がない)」から付いた花言葉です。
近い由来で「愛の離別」「離別と恋の悲しみ」という花言葉も付いています。
誰かがいなくなる事は寂しいものです。
一方、そう感じられるのは、その人を何かしら好ましいと思っていたからです。
その人が何をしてくれたか思い起こせば、辛いだけではなくなるでしょう。
卒業などのタイミングで、別れ行く親しい人へ贈るのに向く花言葉です。
「平和」
「ニガヨモギ」の薬効から付いた花言葉です。
国家間の平和は、個人でコントロール困難です。
一方、心の中の平和は、ある程度コントロール可能です。
けれど、極端に落ち込んでしまうと、なかなか復旧出来ないものです。
スマホの待ち受けにして、日々の気持ちの平和を心がけるのに向く花言葉です。
「ニガヨモギ(苦蓬)」の豆知識
「ニガヨモギ」は、『新約聖書』に登場します。
「ヨハネの黙示録」の章で、世界が破滅する中で「川と水源を(毒で)苦くする星」の名となっています。
この事と結びつけ、旧ソビエト連邦の都市「チェルノブイリ」が、ロシア語で「ニガヨモギ」の意味である、という説があるのですが、これは誤りです。
チェルノブイリは「オウシュウヨモギ(欧州蓬)」のロシア語の呼び名で、「ニガヨモギ」の「ポルィーニ」との共通点はありません。
まとめ
「ニガヨモギ」は日本ではそれほど身近ではない花です。
花言葉を知り、興味を深めれば、ヨーロッパの文化に浸透している事にも気づけるでしょう。
植物を多面的に見せてくれる、花言葉を是非参考にして下さい。