「イトスギ」は、ヒノキ科イトスギ属の木の総称です。
「サイプレス」「セイヨウヒノキ」と呼ばれることもあります。
主に街路樹や公園樹、庭木などとして親しまれており、日本では特に円錐状の樹形と爽やかな黄緑色が美しいゴールドクレストがメジャーです。
なお花には雄花と雌花の2種類がありますが、どちらも茶色で地味なうえに花らしい形をしていないためか普通は観賞用にはされません。
「イトスギ」の花言葉
「イトスギ」の花言葉は「死」「哀悼」「絶望」です。
これらはギリシャ神話に登場する美少年キュパリッソスに関するエピソードからきています。
キュパリッソスが住んでいたケーオス島(今のギリシャ領ケア島)には黄金の角を持つ雄鹿がいました。
雄鹿は人懐っこかったため人々からよく可愛がられていましたが、最も可愛がったのがキュパリッソスです。
しかしある時キュパリッソスは、誤って投槍で雄鹿を死なせてしまいました。
無論キュパリッソスは自分も死のうという勢いで嘆き、神々でさえ彼を救うことはできなかったそうです。
結局、キュパリッソスは悲しみのあまり「イトスギ」に姿を変えてしまいました。
そしてこのことから、欧米では「イトスギ」は死の象徴とされています。
特にカトリックの国では墓地に植えられたり、棺の材料として使われたりすることもよくあるそうです。
またイエス・キリストが磔にされた十字架は「イトスギ」から作られたという伝説もあります。
これらのことを考えると公共の場所や庭に植えるにはあまりふさわしくないと思われるかもしれませんが、「イトスギ」は生や再生の象徴としても扱われます。
つまり生死や宗教、神話などと関わりが深い、神聖な木なのです。
「イトスギ」の豆知識
「イトスギ」はダ・ヴィンチの「受胎告知」やゴッホの「糸杉と星の見える道」、ベックリンの「死の島」、クラナッハの「楽園」など様々な作品に登場します。
またその木材は腐敗しにくいため、建材や彫刻、寄木細工などに利用されているそうです。
イギリスではドアの材料としても使われるとか。
なお樹形がきれいなため、クリスマスツリーとしても用いられます。
まとめ
「イトスギ」はヒノキ科イトスギ属の仲間を指す言葉です。
日本ではゴールドクレストが特に有名ですが、他にもホソイトスギ、オオイトスギなどがあります。
欧米では死の象徴とされており、花言葉も「死」「哀悼」「絶望」とおどろおどろしいものばかり。
しかし古くから宗教や神話と関わりが深く、また生や再生の象徴としても扱われる神聖な木という側面もあります。
とはいえ樹形が良いためか、世界中で広く街路樹や公園樹、庭木、クリスマスツリーなどとして親しまれてもいるようです。